校長室より

       野澤 道生

 

シリーズ「今東発見」その58

令和5年度卒業証書授与式 式辞

  

20240301   式辞を申し上げます。
 このところ昼間の日差しに春の訪れが感じられるようになりました。本日は、この今治東中等教育学校から101名の若者が巣立っていきます。その門出にあたり、御来賓の皆様方には、お忙しい中、御臨席を賜り、誠にありがとうございます。厚くお礼申し上げます。また、今日、お子様の卒業の日を迎えられた保護者の皆様、本当におめでとうございます。

 卒業生の皆さん、令和5年度の今治東は、4月の入学式で君たちが中心となって行った新入生に贈る「東校応援」で始まりました。式場で東校応援を贈るのは、4年ぶりのことでした。
 君たちが当たり前のように行える東校応援は、今治東がまだ高校だったころの1期生から、今の前期課程の1年生まで全員が、いくつもの曲に合わせて異なる声出しと、振り付けを行うことができます。こんな学校は全国にも他にないと思います。
 7月には、坊っちゃんスタジアムで、東校応援をしました。4校合同チームへの応援でしたが、みんな全力で声をあげ、球場での東校応援を披露することができました。

 9月。君たちにとって最後の運動会は、感染症の拡大のため、直前になって延期となりました。しかも、運動会当日の朝のグラウンドには、前日から降り続いた雨で水が浮いていました。雨雲の間から少しずつ青い空が見えるようになる中、君たちはドロドロになりながら一生懸命に砂を入れ、椅子を拭いていました。その時の君たちの生き生きとした、明るい表情に感動しました。
 そんな君たちが中心になって行った運動会は、応援合戦もパネルも競技・演技も、どれも立派な素敵な運動会でした。最後のフォークダンスで君たちが見せた、はじけるような笑顔は、本当に素晴らしかったです。

 12月。サッカー部が2年ぶりに全国選手権大会に出場しました。私は東京のスタジアムで、娘と一緒に応援をすることができました。
   私の娘は高校を卒業した後、東京の大学に進学し、そのまま東京で就職しました。顔を合わせるのは年に数日となり、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大すると、会うことは全くできなくなりました。サッカー部の全国選手権大会への出場は、私に娘と同じ時間、同じ空間を共有する機会を与えてくれました。本当に感謝しています。

 君たちがこの学校で過ごした6年間の半分は、新型コロナウイルス感染症のために、それまで当たり前だと思っていたことが、次々とできなくなりました。悔しい思いや、やるせなさを感じたこともたくさんあったでしょう。でも私にとって君たちと過ごしたこの3年間は、何度も熱い思いをし、「教員の言葉が生徒に届く」ことを実感できた、幸せな3年間でした。  

 最後に君たちにお願いがあります。卒業後、君たちは様々な世界に進みます。特に県外の学校に進学する人や社会にでる人は、家族と過ごす時間がとても少なくなります。どうか家族といられる時間を大切にしてください。新型コロナウイルス感染症に苦しんだ3年間は、当たり前に思っていたことが、実はとても大切なものであり、それを守るためには努力が必要であることに気づいた3年間でもあったと思います。
   これからは、家族との時間をつくる努力をしてください。そして、これまで君たちを育ててくれた人たちに感謝をしてください。 
 今日は、たくさんの人が君たちに「おめでとう」というでしょう。その言葉に今日だけは、心から「ありがとう」と返してください。
 どうか幸せな人生を送ってください。卒業、おめでとうございます。

  令和6年3月1日  愛媛県立今治東中等教育学校長 野澤道生


シリーズ「今東発見」その57

土曜市民講座「東大入試で学ぶ日本史」の最後の講座を行いました

 2月10日(土)、地歴・公民教室で、市民講座「東大入試で学ぶ日本史」の最後の講義を行いました。
 この講座は、教頭として勤務していた時、本校の生徒の爽やかさを知ってもらいたくて始めました。ですから、生徒が校内にいて、参加者と出会う時間帯に実施しました。
 結果、県外から参加してくださった方が「廊下ですれ違う生徒さんたちの挨拶が、本当に気持ち良い」とSNSに投稿してくださいました。
 
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 第1期の講座の様子

 そして校長として赴任した3年前、講座を再開しました。
 今回も、オンラインで配信で、東京や京都、岡山などから参加を得ました。

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問題を解いている参加者にアドバイス

 ぼくは2冊の新書の本を出しています。
 2冊ともこの「市民講座」の内容が元になっています。
 11年前、今治東中等教育学校に赴任しなかったら、そして爽やかな生徒たちと出会うことがなかったら、本を書くこともなかったでしょう。
 何より、楽しかったです。
 本当にありがとうございました。


シリーズ「今東発見」その56

令和5年度前期課程スピーチコンテスト 閉式の挨拶(1月26日)

 「プレゼンテーション」という言葉があります。よくプレゼンといいますね。どういう意味でしょうか。
 パソコンで写真や表などをスライドにして、見せることではありません。
 「プレゼンテーション」は、何人もの人を相手に、自分の考えや情報などを同時に伝えること、そして受け入れてもらうことです。
 ですから、プレゼンで最も大切な力は、話す力、スピーチの力になります。パソコンで映す写真や表は、あくまでもスピーチを助けるものに過ぎません。
 スピーチというのは、ただ言葉を話すだけではありません。声の大きさ、間合い、視線、表情、手の動きなどすべてで、自分の考えを相手に受け入れてもらうのです。

 ところが日本人には、このスピーチがあまり得意でない人がたくさんいます。
 ではヨーロッパやアメリカの人は、もともとスピーチの才能があるのか。そんなことはありません。生まれながらに話のうまい人など1人もいません。
 彼らは子どもの時から、自分の考えを伝える練習をしているのです。どこの国の人でも、スピーチのうまい人は努力をしています。

 しかし、多くの日本人は、長い間その努力を怠ってきました。そしてこんなことを言ってきたのです。
 「雄弁は銀、沈黙は金」、しゃべる人より、黙っている人の方が優れているのだ。
 この「雄弁は銀、沈黙は金」という言葉は、イギリスの”Speech is silver, silence is golden. "から来ています。
 この言葉の本来の意味は、「上手く話せることはとても大切なことだ。しかし、時には黙っているほうが、より効果を与える場合もある。」
 つまり、話すべき時なのか、黙って聞いているべき時なのかの判断をしっかりとしなさいという意味です。

 今日の君たちがまさにそうでした。
 Speeker、発表者は一生懸命原稿を書き、何度も何度も練習して今日に臨みました。
 Audience,聞いている生徒はみんな、しっかりと聞いていました。
   その姿勢が、君たちに国際社会を生き抜く力を与えてくれます。
 いい発表会でした。これからもがんばってください。
 終わります。

シリーズ「今東発見」その55

令和5年度第3学期始業式 式辞(1月6日)

 今日から、3学期が始まりました。冬休みは有意義なものになりましたか。冬休みの間に公式戦があった部も、いくつかありました。その一つが、サッカー部の選手権大会でした。
 結果は残念でしたが、吹奏楽部の協力もあり、地元の堀越高校に負けない応援ができたと思います。ぼくは、娘と一緒に応援することができました。娘は、東京に住んでいて、なかなか会うことができません。その娘と同じ時間を過ごさせてもらったことに、本当に感謝しています。

 先日、ぼくは20年ぶりに行われた中学校の同窓会に参加しました。何人もの同級生から「サッカー部凄いね。今治東は公立学校でしょう。」と言われました。運動部も文化部も公立学校が全国大会に出ることは、とても難しいことなのです。その中で、君たちは結果を出しています。これは誇ってよいことなのです。
 部活動でも勉強でも良い結果を出すためには、努力が必要です。そして目標が高ければ高いほど、苦しさも大きくなります。
 それでも、ぼくは高い目標をもって、努力することには価値があると思っています。それは「人は、自分はこうありたいと望まなければ、その自分になることはできない」からです。そして、自分の前にある壁を乗り越えることができるのは、自分しかないのです。

 新しい年が始まります。一年後、自分はこうなっていたいという目標を具体的に立てて、その実現のための努力してください。
 終わります。

シリーズ「今東発見」その54

進路の手引き巻頭言  「なぜ学習時間の多さを評価するのか」

 君たちは、1年生の時から定期的に「家庭学習時間調査」で、自分の学習時間を確認しています。ぼくは2年生(中学2年生)の担任だった時、非常に成績が良かったS君から、次のように聞かれました。

「なぜ、学習時間の多さを評価するのか。勉強には時間だけではなく、集中力や効率、理解力など、他にも重要なものがあるではないか。」

 ぼくは、こう答えました。 

「確かに、学力を上げるために必要なのは、学習時間だけではない。でも、家庭学習時間調査をするのには意味があるのだ。 
世の中は不公平で、生まれ持って運動能力が高い人と、運動能力に恵まれていない人がいるように、学習能力においても、生まれ持って高い才能を持っている人と、それほどではない人がある。運動能力には瞬発力、俊敏性、柔軟性、体力(持久力)など、いろんな要素がある。それと同じように、学習能力にも、集中力や効率、理解力のほかに勉強体力というものがある。勉強体力とは、机に向かって勉強をすることができる持久力のことだ。
 生まれ持って体力に恵まれている人が毎日努力をしたら、恵まれていない人は努力をしても勝てない。でも、勉強体力は違う。なぜなら勉強体力には上限が決められているからだ。1日は24時間しかない。勉強体力は、生まれ持った才能の差を、努力で帳消しにできる唯一の学習能力なのだ。スポーツにおいて、レベルが上がれば上がるほど、体力が不可欠になるように、勉強においてもレベルが上がれば上がるほど、勉強体力が重要になる。学習内容が高度になり、分量も多くなると、それを処理するためには、時間がたくさん必要になるからだ。
 体力が急に身に付いたりしないのと同じで、急に長時間、机の前に座れるようになったりはしない。これが『低学年の時は成績が良かったのに、学年が上がるにつれて伸びなくなった』ということが起こる理由の一つだ。家庭学習時間調査は、勉強体力を付けるためのトレーニングでもある。」 

 その後、S君は、本当に時間をかけた勉強をするようになりました。そして、3年生(中学3年生)の夏に結成された「高い目標を持って難関大学受験に挑戦するグループ」の中心の一人になりました。

 S君と一緒に4年間、競い合い、励まし合って努力をした仲間の一人である 石丸 翔也 氏が、2学期に本校で講演をしてくださることになりました。石丸氏は、人工知能研究の最先端にいる研究者です。現在、31歳で国公立大学の教授をしています。下の図は、彼が毎日記録した「学習記録」の1枚です。(グループの生徒全員が記録していました。ファイルの色から「赤ファイル」と呼ばれていました。)

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シリーズ「今東発見」その53

令和5年度第2学期始業式 式辞(8月25日)

 運動会の活気や文化祭の華やかさを取り戻す2学期が始まります。運動会や文化祭は、一般の生活におけるお祭りのようなものです。
 世界にはいろいろなお祭りがあります。厳粛な祭りもあれば、エネルギーを爆発させるような祭りもあります。そして、世界に「祭り」という文化がない民族はありません。
 それは、人は毎日ずっと同じ生活を繰り返していると、マンネリになってしまい、だんだん活力がなくなっていくからです。そのため定期的に普段の生活とは全く異なる時間と空間をつくることで、新しいエネルギーを得て、規則正しい日常の生活を送るための活力を取り戻すのです。 
 君たちの中には、行事があまり好きではない人もいると思います。でも、日常生活を良いものにするためにも、学校行事に是非、意欲的に取り組んでください。
逆に行事が大好きな人は、普段の学校生活を大事にしてください。お祭りと同じように、日常の生活とのギャップが大きいほど、行事は盛り上がるのです。
2学期、3学期には、4月の時点では計画されてなかった新たなイベントの話も進んでいます。
この2学期を、みんなで充実したものにしましょう。

シリーズ「今東発見」その52

令和5年度第1学期終業式 式辞(7月20日)

 1学期の始業式で、ぼくは、今年はコロナが広まる前の活気を取り戻しましょう。その一つが文化祭の華やかさだと言いました。
 取り戻したいことは、まだありました。それは、挨拶です。11年前、ぼくは教頭として初めてこの学校に来た時、驚いたことが二つありました。一つは東校応援の迫力です。もう一つが、生徒たちの挨拶の爽やかさでした。
 廊下などですれ違うときに、「おはようございます」「こんにちは」という声が、元気で爽やかで、男子も女子も「この学校の生徒は、全員野球部ですか」と言いたくなるほどでした。
 この今治東の生徒の素晴らしさを、多くの人に知ってもらいたいと思いました。そして、外部の人が学校に来る取組をいくつか考えました。その一つが、今も行っている土曜市民講座です。
 行事計画を見ながら、参加者が、少しでも多くの生徒と会う可能性が高い日を選びました。
 実際、市民講座に参加してくださった人たちは、口々に「廊下ですれ違う時の生徒さんの挨拶が、とても気持ち良い」と称賛してくださいました。なかには、学校の写真と合わせて、SNSに投稿してくださる人もありました。
 運動会の活気も、東校応援の迫力も、文化祭の華やかさも、挨拶の爽やかさも、今年1年で全部取り戻したいです。
 協力してください。
 終わります。

 

シリーズ「今東発見」その51

本校が紹介されている本校制作以外のYouTube動画へのリンク集

シリーズ「今東発見」その34 昨年度の度運動会以降にUPされたもの)

 写真をクリックするとリンクが開きます。 

      

シリーズ「今東発見」その50

あかがねミュージアムで本校の美術教員の展覧会が行われています

 新居浜駅の隣にある「あかがねミュージアム」で4月29日(土・祝)~5月21日(日)の間、「アートが生まれる10の場所」という展覧会が行われています。
 本校の池田慧人先生と遠藤優斗先生もブースを出しています。
 
5月4日(木)に行ってきました。


手前右側の作品は池田慧人先生の作品


遠藤優斗先生のブース(ガチャもありました)


帰りにミュージアムを振り返ったら、水場にカエルのオブジェが。気に入ってしまいました。

会期はまだありますから、時間が許せば見に行ってください。いろいろな表現方法があることに気付かせてくれます。

なお、展覧会の案内はこちら

 

シリーズ「今東発見」その49

令和5年度入学式 式辞(令和5年4月11日)

 式辞を申し上げます。
 今日は、暖かい春の陽射しの中での入学式。
 新入生の皆さん、保護者の皆様、入学おめでとうございます。また、御来賓の皆様方には、お忙しい中、御臨席を賜り、誠にありがとうございます。厚くお礼申し上げます。
 新入生の皆さんは、地元の中学校に進むのではなく、受験をして愛媛県の東予にある唯一の中高一貫教育校である本校に進む道を選びました。中高一貫教育校とは、小学校に6年間通うのと同じように、中学校と高校で行う勉強や部活動などを、6年間かけて行う学校のことをいいます。では、なぜ公立の中高一貫教育校というものができたのか。その理由と目的を話します。
 公立の中高一貫教育校の設置が検討されるようになったのは、今から約50年前の1971年のことでした。そして、20年ほど前から公立の学校が設立されるようになりました。その背景には、私立の学校において、実質的な中高一貫教育が広く行われて、優れた実績をあげていたことがあります。その実績とは、勉強だけではありません。スポーツ活動や芸術のような創作活動など様々なジャンルでのことです。
 文部科学省は、中高一貫教育の目的を、「6年間の学校生活の中で、生徒の個性や創造性を伸ばす」ことだとしています。では、君たちにとって伸ばすべき個性とは、何だと思いますか。
 それは、単に他の人と違っていることではありません。君たちが伸ばすべき個性とは、「他の人より少しでも良いから優れているもの。そして努力して伸ばすもの」です。
 例えば、勉強が良く出来るというのが、個性の一つだというのは分かると思います。でも「勉強は得意ではないけど、嫌いではない」というのも、立派な個性なのです。多くの人は、勉強は嫌いです。それなのに「勉強は嫌いではない」のであれば、正しい方法で努力を続ければ、学力は必ず伸びます。
 自分は「走るのが得意だ」、「音楽が好きだ」、「ボランティアをしたい」。全部、素敵な個性です。でも、何もしなければ、大きく成長することはありません。「正しいフォームを身に付ける」、「身体が覚えるまで練習する」、「防災士などの資格をとる」などの努力をすることで、君たちの才能は大きく拓かれていきます。そして、伸ばした個性が、君たちの未来を切り拓いてくれます。
 愛媛県に県立の中高一貫校ができて、今年で21年になります。そして私は、中高一貫教育校に勤務して20年になりました。その間にたくさんの生徒を見てきました。そのなかで、もの凄く才能に恵まれているという人は、あまりいません。多くの人は、能力の差はわずかです。でも6年間、努力を続けることができた人が、卒業する時に、目標を実現できているように思います。
 まだ、自分の個性が分からない人は、いろいろなことに挑戦してください。その挑戦する時間を与えられるのが中高一貫教育校です。
 今日、君たちは、中高一貫教育校に入学しました。高校入試はありません。だからこそ、高い目標をもって、自分の個性を伸ばすための努力をしてください。
 我が今治東中等教育学校へようこそ。
 令和5年4月11日
 愛媛県立今治東中等教育学校長  野澤道生

 

シリーズ「今東発見」その48

令和5年度第1学期始業式 式辞(令和5年4月10日)

 今年、この学校に新たに加わった19名の編入生の皆さん。
 今治東中等教育学校へようこそ。
 君たちはこの学校でやりたいことが明確にあるから、今治東を選んでくれました。今日から始まる3年間、その目標を実現するためにがんばってください。
 さて、皆さん。今年は、まずはコロナが広まる前の活気をとり戻しましょう。その一つが文化祭です。この学校の文化祭は、かつては愛媛県の高校で一番華やかだったと言ってもいいです。地域の高齢者から子供までたくさんの人が来て、楽しんでいました。まるで都会の大学祭のようでした。それを取り戻しましょう。
 でも過去を取り戻すだけでは、学校は発展しません。今治東は、常に挑戦者でなければならないとぼくは思います。
 それは、たとえば桜井海岸の松の落ち葉をバイオ燃料に加工することに成功した新時代プロジェクトも、すでに実績をあげている部活動も同じです。現状に満足していては、前進するどころか後ろに下がってしまいます。
 個人も学校も良くするために必要なのは、「前に行こう」という情熱です。それは君たち一人一人の気持ちにかかっています。
 今日から始まる令和5年度は、今治東の新時代をつくるための1年です。
 明日、入学式があります。4年ぶりにこの式場で東校応援を行うことができます。令和5年度の今治東の新時代は、体育館が揺れるような歓迎応援で始めましょう。

シリーズ「今東発見」その47

「四国ガス株式会社」と「総合的な学習活動に関する協定書」を結びました

 4月4日(火)、今治駅のすぐ近くにある四国ガス株式会社の本社において、管理本部長 原田啓司 様との間で「総合的な学習活動に関する協定書」に調印しました(四国ガスの本社は松山でも高松でもなく、今治にあるのですよ知っていましたか?)。
 これは、本校が昨年度から行っている「新時代プロジェクト」とも連動している3年生と4年生が合同で行っている「総合的な学習の時間/総合的な探究の学習」活動に四国ガスが協力してくださるという協定です。 
 協定書には「連携事項」として
 ⑴ 総合的な学習活動に関すること
 ⑵ 共同で行う教育に関するプロジェクト
 ⑶ 地域の活性化に関すること

などが書かれています。
 3月にはJR四国との提携による「オリジナルの旅行企画の商品化」のモニター旅行が行われました。これはまさに、桜井という地域の魅力を発見・発信するものであり、極めてローカルな取組です。

 それに対して、四国ガスが扱っているエネルギーは、世界と繋がっています。
 皆さん、ロシアが戦争を始めてから、「サハリン2」という言葉を聞いたことはありませんか?
 サハリン2は、サハリン(樺太)の北部にある油田・ガス田に関するロシアの国営ガス会社と日本の三井物産株式会社が出資する開発事業です。このサハリン2プロジェクトで生産されるLNG(液化天然ガス)の約6割は日本向けに供給されていました。
 日本にとって地理的に近いロシア極東に位置することから、エネルギー安全保障上の意義が大きいプロジェクトだったのです。でもロシアが戦争を始めてから、このエネルギー安全保障が脅かされるようになったのです。
 四国ガスがLNGを輸入していた相手は、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、サハリンなどです。
 遠いところで行われているように思えるロシアとウクライナの戦争は、私たちの生活にも大きな影響を与えているのです。

 四国ガスとの提携事業は、極めてグローバルな視点で「世界の中の今治」を考える機会を生徒に与えると期待しています。
 


   
シリーズ「今東発見」その46

令和4年度前期課程修了証書授与式 式辞(令和5年3月17日)

 式辞を申し上げます。
 日ごとに日差しが温かくなり、春の訪れを感じるようになりました。本日は104名の生徒が、今治東中等教育学校の前期課程を修了いたします。小学校を卒業したばかりのお子様を、この学校に通わせてくださった保護者の皆様、本当におめでとうございます。

 3年生の皆さん、君たちは3年前、この学校を受験した時、志望理由書を書きました。みんな、この学校に入学してやりたいことや、将来の夢や目標を書いていました。 あれから3年たって、今日、義務教育の課程を修了する君たちに、私が考える「夢と目標の違い」を話します。

 例えば、「私は将来、医者になりたい」という人がいるとします。ただ、「医者になりたい」と思っているだけなら、それは夢です。それに対して、「医者になるための具体的な行動」をしていれば、それは目標です。
 具体的な行動とは、「これができるようになれば医者になれる」という具体的な到達点を決めて、努力をすることです。
これは、勉強だけではありません。スポーツでも同じです。その例を一つあげます。

 私の知り合いにプロ野球でキャッチャーをしていた人がいます。彼は高校時代に、自分はプロ野球選手になると決めました。「なりたい」ではなく「なる」と決めたのです。キャッチャーは、1塁にいるランナーが盗塁をすることを防ぐために、2塁に素早くボールを投げなくてはなりません。
 プロ野球選手に「なる」と決めた彼は、プロ野球のレギュラーのキャッチャーが、ピッチャーからボールを受けてから、2塁にボールが届くまでの平均タイムを調べました。そして、そのタイムより速く投げることができればプロになれると考え、できるようになるまで練習しました。
そして、プロ野球選手になりました。
 これから君たちは、今まで以上に、自分の将来について考えなければならなくなります。すでに自分の夢がある人は、それを目標に変えて、実現するための努力をしてください。まだ目標が決まっていない人は、いろいろなことを勉強してください。たくさんのことを知って、その中から自分の将来を選ぶことは、決して遠回りではありません。

 目標に向かう道の上には、必ず壁があります。その壁はいくつも現れます。
君たちが壁を乗り越えるために、いろいろな人が助けてくれるでしょう。でも、実際に壁を乗り越えるのは、自分でしかないのです。自分の未来は、自分でしか拓けません。自分の選んだ道を、力強く歩いてください。
 前期課程修了、おめでとうございます。

 令和5年3月17日
 愛媛県立今治東中等教育学校長 野澤道生

 

シリーズ「今東発見」その45

令和4年度第3学期終業式 式辞(令和5年3月17日)

 3月6日に行われたサッカー部とFC今治の記念試合の様子が今治CATVのYouTubeで紹介されています。学校のHPからリンクをかけているので、見た人も多いと思います。また、卒業式で行った東校応援の様子が複数のSNSにUPされていて、「すごい団結力」とか「こんな学校に行きたかった」というコメントが寄せられています。
 これらを見ても、やはり、今治東のような学校は、全国にもあまりないのだと改めて思いました。

 ぼくは、来年度の学校の目標を二つもっています。
 一つは、コロナが広まる前の活気を取り戻すことです。力を入れたいものの中に文化祭があります。
 ぼくは10年前、教頭としてこの学校に来た時、文化祭の華やかさに感動しました。
 普通科の学校なのに後期課程の生徒がいろいろな飲食物の模擬店を出していて、外にはテントを並べた屋台が出ていました。
 休日開催で、保護者だけではなく、地域の高齢者や子どもたちも家族で来て楽しんでいました。まるで都会の大学祭のようでした。
 その華やかさを取り戻したい。そして小学生たちに、「今治東の楽しさ」をもっと知ってもらいたい。これが一つめです。

 二つ目は、今治東の新時代を築く取組をさらに進めていきたいです。
 君たちも知っているとおり、昨年の4月のクラウドファインディングから始まった新時代プロジェクトが、結果を出し始めています。素晴らしい賞もいくつかいただきました。でも、現状に満足していては、これ以上の発展はありません。常に挑戦者でなければならないと思っています。
 今年度の夏は、愛媛大学での「国際理解セミナー」を再開することができました。来年度の夏は、県外への「大学訪問ツアー」も再開します。

 来年度は、この3年間の停滞を取り戻し、さらに新たなことに挑戦していきたい。
 その中心になるのは君たちです。
 40周年は終わりました。
 来年度は、今治東の新しい時代を築いていきましょう。
 終わります。