東校日記

令和3年度入学式 校長式辞

2021年4月10日 10時05分

 式辞を申し上げます。
 今日は、暖かい春の陽射しの中での入学式。
 新入生の皆さん、保護者の皆様、入学おめでとうございます。また御来賓の皆様方には、お忙しい中、御臨席を賜り、誠にありがとうございます。厚くお礼申し上げます。

 新入生の皆さんは、地元の中学校に進むのではなく、受検をして愛媛県の東予にある唯一の中高一貫教育校である本校に進む道を選びました。中高一貫教育校とは、小学校に6年間通うのと同じように、中学校と高校で行う勉強や部活動などを、6年間かけて行う学校のことをいいます。では、なぜ公立の中高一貫教育校というものができたのか。その理由と目的を話します。

 公立の中高一貫教育校の設置が検討されるようになったのは、今からちょうど50年前の1971年のことでした。そして、約20年前に公立の学校が設立されるようになりました。その背景には、私立の学校において、実質的な中高一貫教育が広く行われて、優れた実績をあげていたことがあります。その実績とは、勉強だけではありません。スポーツ活動や芸術のような創作活動など様々なジャンルでのことです。

 文部科学省は、中高一貫教育の目的を、「6年間の学校生活の中で、生徒の個性や創造性を伸ばす」ことだとしています。では、君たちにとって伸ばすべき個性とは、何だと思いますか。
 それは、単に他の人と違っていることではありません。君たちが伸ばすべき個性とは、「他の人より少しでも良いから優れているもの。そして努力して伸ばすもの」です。
 例えば、勉強が良く出来るというのが、個性の一つだというのは、分かると思います。でも「勉強は得意ではないけど、嫌いではない」というのも、立派な個性なのです。多くの人は、勉強は嫌いです。それなのに「勉強は嫌いではない」のであれば、正しい方法で努力を続ければ、学力は必ず伸びます。

 自分は「走るのが得意だ」、「音楽が好きだ」、「ボランティアをしたい」。全部、素敵な個性です。でも、何もしなければ、大きく成長することはありません。「正しいフォームを身に付ける」、「身体が覚えるまで練習する」、「防災士などの資格をとる」などの努力をすることで、君たちの才能は大きく拓(ひら)かれていきます。そして、伸ばした個性が、君たちの未来を切り拓(ひら)いてくれます。

 ぼくはこれまで17年間、中高一貫教育校に勤務してきました。そしてたくさんの生徒を見てきました。そのなかで、もの凄く才能に恵まれているという人は、あまりいません。多くの人は、能力の差はわずかです。
 でも6年間、努力を続けることができた人が、卒業する時に、目標を実現できているように思います。

 今日、君たちは、その中高一貫教育校に入学しました。高校入試はありません。だからこそ、高い目標をもって、それを実現するための努力をしてください。

 我が今治東中等教育学校へようこそ。

 令和3年4月9日
 愛媛県立今治東中等教育学校長  野澤道生